2014/10/08皆既月食(ターコイズブルー)と天王星(右下) BORG90FL+90FL用レデューサー【7872】(試作品)+ソニーα7sボデー+EM10赤道儀(自動追尾) 等倍トリミング 撮影:中川昇(千葉県八千代市)
<中川コメント>この皆既月食が母存命中最後の天体写真になってしまった。90FLのレデューサーの試作品を併用。フランジバックの調整を間違えてしまい、周辺が流れてしまったが、像自体は非常に明るくてシャープで、月食中の微妙なブルーも見事に描写された。
2014/10/08皆既月食(皆既直前)と天王星(右下) BORG90FL+90FL用レデューサー【7872】(試作品)+ソニーα7sボデー+EM10赤道儀(自動追尾) 等倍トリミング 撮影:中川昇(千葉県八千代市)
<中川コメント>90FL+90FL用レデューサー+ソニーα7sの組み合わせは微妙な色彩が非常に良く出る組み合わせだ。天王星の青緑色もJPEG撮って出しできれいに出たと思う。良い思い出になった。
■母との思い出の写真の数々
<中川コメント>
2014年10月11日00時、中川母81歳で永眠。今日のブログは思いっ切り個人的な記事で埋め尽くさせてください。母の具合がおかしいと感じたのは今年の7月。それまではほぼ自立していたのですが、買い物に行けなくなったと訴えがありました。最初は夏バテかなと感じていたのですが、涼しくなっても状況は改善せず。介護認定もあり、病院に連れて行こうとするが、頑として拒否。そうこうするうちにほとんど食べなくなり、ますます体力が奪われていきます。そこで半ば強引に病院に連れて行くと、血液検査で明らかな異常が見つかりました。9月上旬のことです。原因を突き止めるには、多くの検査が必要とのことで、その後様々な検査を行ったところ、10月8日の月食当日に血液のがんであることが判明。余命2ヶ月前後との宣告を受けました。ただ、急変もありうるとのことで、慌てて縁のある病院付の介護施設に入所しました。認知症もあるので、普通の病院ではケアが厳しいと判断したものです。
10月9日に入所、10月10日のお昼までは自力でトイレにも行っていたそうです。使ったタオルもきれいに折り畳んでいたそうです。急変したのは、10日のお昼過ぎ。意識不明に陥ります。中川の携帯にも連絡があり、私とかみさん、弟の3人が順次施設に駆けつけます。私が施設に向かうタクシーの中から真っ赤に燃える実に美しい夕焼けが見えました。到着するとすでに息が荒く、今夜が峠と告げられます。喉が腫れていて素人目にも厳しい状態でした。徹夜を覚悟しました。23時すぎ徐々に息が静かになっていきます。ああ、もう終わりかと覚悟すると、息継ぎがあり、ほっとします。その繰り返しが続き、いよいよかと思ったそのとき、母の目が少しずつ開いたのです。明らかに私の方をじっと見つめています。涙を流しています。私も目で合図しながら、声もかけます。「オレを生んでくれてありがとう」「育ててくれてありがとう」「好きな道に進ませてくれてありがとう」。家で意識のあるときにもかけた言葉を最後の場面でも叫びます。
もちろん、母は応えてはくれませんが、目の奥で「わかってるよ。昇。」と言ってくれているようでした。その直後です。0時ちょうど息継ぎが途絶えました。その瞬間は悲しみよりも、3人で看取れたという満足感の方が優りました。間に合ってよかった。「ありがとう。お疲れ様。」遺体を安置所に送り出した時、上空には月食2日後の大きな月が輝いていました。母とは50年近く、一緒に暮らしました。実に半世紀です。小学生の頃、天体望遠鏡も一緒に買いに行きました。プラネタリウムにも連れて行ってくれました。真冬の天体観測にも、暖かいホットドックを作ってくれました。一緒に金星食も見ました。土星も月も喜んで見てくれました。この母がいなければ、今のBORGは無かったと断言できます。「星なんか見てどうなるの?何になるの?」と言いながらも応援してくれました。そのお陰で中川少年は、「将来絶対に望遠鏡を作る職業に就くんだ」と誓うのです。両親の献身的な支えがなければ、とっくに挫折していたでしょう。好きな道に進ませてくれてありがとう。
母の葬儀の日は、実は中川夫妻の新居の引越しの日でもありました。当然、引越しは1週間延期。このタイミングも運命を感じます。心には大きな穴が開いたようで、寂しさと悲しさが徐々に押し寄せてきます。葬儀は家族で13日に済ませました。号泣しました。今回の皆既月食は一生忘れらない月食となりました。母が流した血の色と皆既月食の赤い色も妙に重なります。ブラッドムーンとは良く言ったものです。その寂しさと悲しさを引越しの忙しさで紛らせました。今日は新居に帰ります。実は、会社でも今日からようやくWINDOWS7が導入されて、システムが一新された日でもあります。本当に運命的なものを感じます。
というわけで、今回、私がBORGに入ってから一番長いお休みをいただきました。ブログも12日間も更新しなかったのは初めてです。ご心配をおかけしまして誠に申し訳ありませんでした。皆既月食の投稿もたくさんいただいたのに、いまだに掲載できず申し訳ありません。少しずつ、掲載していく予定です。期間中、BORGスタッフは私の穴を見事に埋めてくれました。ありがとう。感謝します。ブログや販売戦略以外の業務は、私がいなくても回るようになってきました。これも時代の流れだと思います。今回の一連の出来事は、単なる偶然ではなく、後から振り返った時にターニングポイントとなる出来事だったと思います。
現在、83歳になる父も認知症で入所していますが、体調は一進一退です。常に覚悟をして悔いのないように介護していきたいと思います。明日は我が身。様々なことを考えさせられた1週間でした。「かあ坊(母をこう呼んでいました)今までありがとう。これからも家族とBORGを見守ってね。」皆さんも中川安枝という女性がBORGの影にいたことに今日だけでも思いを馳せていただけると母も喜ぶと思います。今日もBORG開発者ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
P.S.追加情報です。2018年1月14日に父、中川伊佐雄も永眠しました。87歳でした。奇しくも2018年1月31日の皆既月食の2週間前というタイミングでした。(2018/01/26中川)
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