ボーグパーツを知る ([3101]片持ちフォーク式赤道儀)

BORGには様々なパーツがラインナップされています。
一見何に使うのか?と思われる部品、ひっそりと隠れているパーツなども多いのです。

この特集では幾つかの部品を取り上げ、その使い方や利便性などをお伝えして行きたいと思います。第1回は、天文趣味の方以外には耳慣れない「赤道儀」というパーツです。デジボーグでも便利に使えます。

 


赤道儀とは何か?

天文ファンの方にはお馴染みの星を追いかけるために便利な架台(マウント)で、デジボーグの場合は雲台(三脚の上に付いている物)に該当する部品です。


星を見るわけでもないのに、赤道儀をご紹介するのは本来おかしいですね。けれども、この赤道儀をカメラ三脚に載せることで経緯台(上下左右に動くタイプ)に変身します。

何故、このパーツをご紹介するのか?それには理由があります。

 


大きなメリット

1 バランスが非常に優れている(ブレにくい)

写真挿入

写真を見ていただくと分かりますが、赤道儀には望遠鏡を上下に振るための軸があります。(ダイアル状部品の位置)
この軸と望遠鏡の重心(上下と前後)をぴったり一致させることが可能です。通常のカメラ三脚+雲台の組合せでは、どうしても重心が軸と一致しませんが、赤道儀を使うことでバランスよく一致させることが出来るのです。

では、何故バランスが重要なのでしょうか?
デジボーグは非常に長焦点の撮影を行いますから、ピントはもちろんブレには細心の注意が必要です。ブレを考えた時、最初にやるべきことの一つが機材のバランス調整です。ブレ防止のメリットが大きいのは言うまでもありません。

一般的な雲台に載せた場合は、スコープの重心と雲台の重心(回転軸)が一致していません。前後に傾けた場合は2つの位置関係がずれて、急激にバランスが悪くなります。この問題を解決するには、ご紹介している赤道儀やジンバル型マウントなどが必要です。

 

2 全周回る微動装置を装備

カメラ用の雲台にはストッパーは付いていますが、微動装置は付いていません。(一部の機種にはありますが、非常に高価)
デジボーグではかなりシビアな超望遠撮影を行いますので、被写体の導入やフレーミングにはどうしても微動装置が欲しくなるのではないでしょうか?

デジボーグをやっている方の中には、市販の微動装置を雲台の上に載せて使っている事例もあります。やっぱり微動装置は必要とされているのでしょう。幸い、[3101]片持ちフォーク式赤道儀に搭載されている微動装置は全周微動というタイプで、ハンドルを回し続けると望遠鏡はずっと回り続けます。(どこにも接触しない場合)
良くある微動装置は動作範囲が非常に狭くて、カツンと当たってしまったらネジを戻さなければなりません。けれども、全周微動装置付きならそんな心配はご無用です。

左の写真は赤道儀を下から見たところです。

丸いパーツの外側に金色っぽい歯車状部品が見えています。360度(何回転でも)回せる構造です。

 


大きさと重さ

デジボーグを利用するケースでは、持ち運びの利便性を考える必要があります。
赤道儀の重さは650gありますから、軽量な雲台に比べるとちょっと重いですね。けれども、よく見かけるビデオ雲台は、約1kgの重さがあります。と言うことは、赤道儀の方が軽いんですよ。

大きさは的には、赤道儀の方が背が高くて約16cm程あります。また、幅や奥行きは赤道儀の方が小さいです。それから、雲台にはパン棒(手で握る棒)が付いていますが、赤道儀にはありません。
望遠鏡本体やカメラなどを直接手で持ち、方向を変えることで対応します。

上下微動ハンドルを操作しているところ。

手の大きさと比較して見てください。コンパクトさが分かります。

 

話がデジボーグから逸れますが、弊社の赤道儀にはモーターは付いていません。また、一般的な赤道儀と比べると大きさと重量が全く違い、非常に小型軽量に出来ています。従って、マニアックな天体用(特に撮影)には使われないのですが、気軽に運んで楽しく観望するには向いています。

また、カメラ三脚に載せられる構造ですから、今回ご紹介するようなデジボーグや望遠レンズを使う撮影に転用することが可能です。一眼レフの望遠レンズを載せてみても便利に使えることでしょう。

 


取り付け方法

赤道儀とカメラ三脚の取り付けには、特に追加部品や加工は要りません。赤道儀側にはカメラネジ(1/4インチメス)がありますので、市販のカメラ三脚(雲台無し)にねじ込んでください。なお、海外のカメラネジ(3/8インチ)に対応する赤道儀も少量ご用意しています。(ご注文の際は、"大ネジ仕様"とご指定ください)
また、カメラ三脚に直接接続する形がベストですが、雲台にも搭載可能です。

望遠鏡の取り付けには、専用のパーツ(いずれか一つ)が必要です。

[3102]汎用アダプターE

シンプルな金属製

ネジは含まれていませんのでご注意ください。
タカハシ製の鏡筒バンドに合うメスネジが切ってあります。

[3104]バランスプレート

バランス調整出来るタイプ

カメラネジ(メス)を1か所切ってあります。また、写真には写っていませんが、ネジとレンチも付属しています。

[5503]鏡筒バンド+アダプターE

80φ金属鏡筒専用
プラスティック製軽量タイプ

ミニボーグには使えません。

フィールドスコープ、カメラ用望遠レンズ、ミニボーグには、バランス調整できる[3104]がお勧めです。また、77EDなどの80φ金属鏡筒では[5503]もお選び頂けますが、全体のバランスを考えると[3104]がベターです。

なお、上の方の写真でお気づきの通り、赤道儀への取り付けは横方向から行います。カメラ雲台にそのまま載せる場合と比べ、90度角度が変わりますのでご注意ください。スコープに取り付けた照準器などは、位置を変更する必要があります。

 

ミニボーグ鏡筒に[3104]を取り付けた様子。

下からカメラネジで固定してあります。

右手の丸い小穴は、カメラネジ(メス)です。カメラ雲台にも載せられます。

 


微動の動作方向

赤道儀は天体望遠鏡(倒立像)を載せるために設計されています。そのため、微動装置を動かした場合の感覚的な動作は逆方向になります。(正立で使う場合の話です)

例えば、水平微動のハンドルを右に回すと、望遠鏡は左を向きます。正立の概念からいうと逆方向ですね。ところが、倒立像の天体望遠鏡を載せた場合は見た目の方向と、直感的な回転方向が一致します。特に倒立像の場合は導入に混乱しやすいですから、直感的に操作できるポイントはかなり高いです。

一般的なフィールドスコープを搭載した場合は、最初少し戸惑うと思います。けれども、使っているうちに慣れてきますので、あまり気にせずとも使えるでしょう。
なお、天体望遠鏡で倒立像撮影するケースでは、直感的な動作方向とハンドルの回転方向が一致しています。この点を踏まえ、ぜひとも倒立像撮影を体験してみてください。撮影した画像の切れ味がシャープで、新たな感動を味わえること請け合いです。

 


その他

おまけでちょっと情報を書いておきます。

水平垂直軸共に、フリクションが軽い場合は微調整が可能です。


クランプのつまみを外して、その下に見える3本のネジを締めると動作が重くなります。

 

赤道儀本体の横には、簡易傾斜計が付いています。取り付け用も含めると、全部で4つのメスネジがあります。

カメラの外部バッテリーなどを取り付けるために活用出来ますね。

液晶モニターを取り付けるプランもユーザー様から頂戴しています。

 

2004/06/16
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